執念の絵柄チェンジ

NO IMAGE.png山下ユタカとは2ヵ月ばかり会ってないんだが。
(3月以来、ゲルチュチュのライヴにも行けず…)

その間、「R-ZONE」に載ってた『ガールズ&パンツァー』のイラストにも驚かされたが。
先日公式ツイッターにアップされた、新作用キャラ表からの1枚にもまた驚かされた。
オリジナル作でも、遂にこう来たか。

『ラチェット・シティ』「銀貨鉄道途中下車」「残像のラプソディ」…と、かつての“ヴァイオレンスの極北”云々みたいな作風から転換を遂げつつある山下ユタカだが。
少ないながらも熱狂的なファンを獲得し続けてきたあの独特の絵…が、今や何処に持ち込んでも受け入れられないのだとか。
で、漫画家稼業を続けんとする山下の執念が生んだのが…あのかわいらしい女の子のイラスト。

俺は随分長いこと“山下ユタカはその気になればラブコメだって何だって描ける”と言い続けてきたが。
本人にはあんまりその気がなく。
(まあそりゃそうか)
しかしここに来て、かつてのテイストを封印してでも(?)、商業ベースに受け入れられる絵柄を本気で追及する気になったか。

転向?
セルアウト?
セルアウトなら、それでもイイと俺は思う。
型枠大工やらずにあくまで漫画家で食って行こうとするなら、そのためにやるべきことをやればイイんだと思う。

件のイラストは、某社でしばらく前からボツ食らい続けているという新作短編(いや、掌編か)からのモノと思われ。
そのネームは随分前からボツの連続らしいが、俺と周囲の極少数の気持ちとしては「そのぐらいのページ数、仕事と腹括ってサクッと仕上げたれや~!」と。

それももう終盤だろうか。
本人からのコメントは「もうじんじをつくしててんめーをまつってヤツ」ということで。
もちろん他にも多くのネームがあり。
進行中(停滞中とも言う)の、また別の仕事もあり。
「残像のラプソディ」からも約1年。
山下ユタカの再登場を待ちたい。


そして19日(木)はゲルチュチュ@新宿URGAです。
今月閉店するURGAでの最後のライヴとなる。
俺は既報通り、その日は大森AIN'T NO#で「CLUB-D」に出るので行けないが。
行ける人は、URGA行ってあげてください。
(あ、来られる人は「CLUB-D」ヨロシクです。20時25分から回します)


追記:
コレを書いた当時は件のイラストを転載(山下ユタカの了承済み)してあったのだが。
ブログを引っ越したりで今じゃ何処にも見当たらない。
デジタルって残らないよな…。

(2022.6.1.)


追記2:
その後山下ユタカはこの頃の比ではないレベルで目のでっかいかわいい女の子を描くようになるのだったが。

(2024.10.26.)

配信とかライヴとか

残像のラプソディ.jpg今頃になって今年初めて山下ユタカの話題。
(何しろ彼が携帯紛失して以降、1ヵ月くらい音信途絶していた。俺の方も今年はブログ書けなかった日がかなり多いし)

ファンの間では既に話題沸騰と思われるが、「残像のラプソディ」が遂にネット配信開始。
(ここを見ている山下ユタカファンで、公式サイトをチェックしていないという人はよもやいるまい。そもそも山下ユタカのファンが今でもここ見てるかというと心許ないぞ)
手直しも施されているんで、昨年FUNDIYに出資して入手済みの人も要注意。

コレでもうちょっと何とかなるとイイけどね。
昨年は「残像のラプソディ」があり、そして『R-ZONE』での連載も続いているワケだが、それで食えるかというと、アレだ。
山下ユタカは既に確定申告を済ませたそうだけど(俺まだ…)、実におぞましいレベルの収支だったという…。
何より必要なのは安定して漫画描ける場所だろう。
○○○の件はその後どうなっているのか…。

そうは言ってもファンにしてみれば、数年前とは情報量が天地の差。
『R-ZONE』のおかげで、けっこうなペースで山下ユタカの新作イラスト(そして独特な語り口の文章)に触れることが出来るし。
公式サイトで最新情報はある程度入るし。
でもやっぱり山下ユタカの漫画を読みたいよね。
ちゃんとペン入れされた「逆頭」や「鉄屑のマリオネット」をね。

で、近々ゲルチュチュのライヴもあります。
11日(金)三軒茶屋HEAVEN'S DOORにて。
顔ぶれが超豪華で、ランキン・タクシーにスラングブギーにキヨステに東京梁山泊(祝・活動再開)ですと。
更に4月には新宿URGA(いよいよカウントダウンだなあ…)で遠藤ミチロウ&吉野大作と!
御都合付く方は是非行かれるがよろしいでしょう。


1ヵ月近く続いている体調不良が戻り切らないうちに、今年も花粉症の症状が出始めたぞ…。


(2024.10.7.改訂)

山下ユタカ四十七転五十八倒

残像のラプソディ.jpg「残像のラプソディ」を、クラウドファンディングに出資した人たち以外にも読めるようにしよう…という動きがあるそうで。
山下ユタカ公式サイトのツイッターをチェックして、喜んでいる人も多いのではないかと。
続編だから、新規の読者にはどうかとも思うけど、『ノイローゼ・ダンシング』が好きだった人で「残像のラプソディ」読めてないという人には朗報だろう。
引き続き公式サイトをチェックだ。

一方で、ファンが待ち続けている山下ユタカの新作は、何処にも発表される気配がない。
相変わらず、新作を掲載しようという雑誌は見当たらない様子。
「鉄屑のマリオネット」も「逆頭」も、いつまでもネームのままの状態。
ネーム見るだけでも、相当面白そうなのにな。
相当面白そうと思う人間は、少数派過ぎるのか?

漫画の仕事がないから、当然金が入らない。
金が入らないから、当然生活は困窮を極める。
このままじゃ飢え死にじゃん…と心配になるが、本人は現場に出たりして糊口を凌ぐつもりもない様子で。


…と、そこに山下ユタカ本人からメッセージが。

「ナニユエこんな全否定のなかこのようなクソ地獄をクソ徘徊し続けているのかモハヤ皆目見当もつかないが…ソレでも続けてやる、便器を血に染めようとも。」

うっ、ちょっと悲壮感漂ってきた。
なんとかならねえかなあ。
俺に金があれば…年末ジャンボ当たらないかな(←こういう考え起こしてる時点でもうダメだ)。

どっかの編集さん、山下ユタカに漫画描かせてやってくださいよ。
面白い漫画描きますよ彼は。
ホントですよ。


とりあえず明日は新宿URGAでゲルチュチュのライヴがあります。


(2024.9.4.改訂)

山下ユタカ七転八倒

大人ミカ2.jpg10日ぐらい前、山下ユタカからけっこうしょんぼりした感じのメールが来た。

山下ユタカとはもう1ヵ月会っていないのだけど。
お互い都合が付かず、会って話す時間もとれず。
メールのやりとりによると…相変わらず状況良くない。

「残像のラプソディ」以後も、仕事増えるでもなく。
皆無ではないが…「R-Zone」の連載とかだけじゃ食えないよね。
クラウドファンディングの公約(?)だった、インターネット接続も果たせずじまい。

状況を打開するために“さる筋”と接触しているらしいが。
漫画家として食っていくために、“山下ユタカ漫画”を封印しろぐらいのことは言われているようで。
彼がよく言う“作家性”ってやつだな。

体調もあんまり良くないらしく。
先日は通算20何回目かの内視鏡検査。
俺の方はこないだギャラが入ったんで、肉でも食わせてやろうかと思ったんだけど。
体調良くないと、肉どころじゃないですね。
(よりによって安倍晋三と同じ持病とは…)

たとえ絵柄を変えたとしても、原作付きで全然本人のテイストと違うの描いたとしても。
どうしたって山下ユタカの“汁”が出るだろうし、きっと面白いと思うんだが。
以前から言ってるけど、山下ユタカがその気になれば、ラブコメだってペット漫画だって面白いのが描けると思う。
(その気になれば…でも、左腕刺青みっちりのモヒカン男がモルモットを一生懸命かわいがる漫画とか、きっと面白いよ?)
必勝パチスロ7に描いた「煌めき損ねた僕とアイツのいまだ地を這う不発伝説 それに伴う傾向と対策」(←タイトルがデイヴィッド・ボウイ…)なんて、面白かったじゃん。
ファンの皆様は、どう思われますかね。


…というワケで山下ユタカ(相変わらず)絶賛仕事募集中!
銃やらバイクやらかわいい女の子やら(それ以外も)描けまっせえ。
仕事入れば、体調不良も(多分)吹っ飛ぶはずさ。


追記:
山下ユタカはその後も持病と格闘しているが。
とりあえずこないだは回らない寿司食わせたった。
俺自身回らないやつは16年ぶりだった。

(2024.8.31.)

Catch The Rainbow

RAINBOW.jpg10代の頃。
洋楽/ロックを聴き始める前は、アニメとプロレスにドハマリしていた。
(モテ要素ゼロ!)
しかしそんな中でも、ロックの深淵はあちこちに口を開けていたのである。

腐れアニメおたくだった頃、毎号買っていたアニメ誌は何故か「アニメージュ」でも「OUT」でもなく、「アニメック」だった。
(覚えてる人いるかしら…)
当時の関係者が今何処でどうしているのかまったく知らないが、80年代前半にはラジオ番組(「ラジオアニメック」)も持っていたりして、かなり浸透していたアニメ誌。

その「アニメック」の誌面の隙間(?)でイラストを担当していた、“Z姉さん”という人がいた。
しかしZ姉さんのイラストは、基本的にアニメと関係なかった。
“かばちゃん”という幼稚園児(だったよな)の女の子が登場する、連作的なイラスト。
そのかばちゃんがデイヴィッド・カヴァーデイルのことである(!)と気づいたのは、アニメとプロレスと並行してハード・ロック/ヘヴィ・メタルにハマり出してからだった。
すると…“ろーくん”というのは、ジョン・ロード!
アニメとメタルの両方が好きな人が「アニメック」でイラストを描いていると知って、ちょっと嬉しくなったのだった。

そうこうするうち、「アニメック」は自前の漫画誌も刊行するようになる。
それが「まんがアニメック」だった。
ここで、Z姉さんは“きずき零”と名乗って漫画家デビューする。
「まんがアニメック」の何号に掲載されたのか記憶が定かでないのだが、「CATCH THE RAINBOW」という読み切りが、ツボだった。
父子家庭に暮らす主人公の少年の父親が、リチャード(ハロルド・ブラックモア?)。
そのリチャードがある日連れて来た新しい恋人がジョー(リン・ターナー?)。
リチャードの友人がロジャー(グローヴァー?)。
主人公をそそのかす悪友がジミー(ペイジ?)。
まあ『8ビート・ギャグ』みたいなもんなんだけど(そうか?)、でも凄く面白かったんだ。

残念ながら、掲載誌はすぐに失われた。
大学時代、友人・O桃に貸したら、たちまち紛失されてしまったのだ。
(以降、O桃にはレコードも本も、一切貸さないことにした。O桃はその後も、友人や後輩から借りたレコードその他を紛失し続けた)

きずき零が、その後漫画家としてあちこちで活躍することは、なかったらしい。
ロックに没入し、アニメもプロレスも観なくなってウン十年。
“きずき零”で検索しても、「まんがアニメック」の作家の一人として名前が出てくる程度。
しかし「CATCH THE RAINBOW」は、俺にとっては紛れもない傑作だった。
Z姉さん、今もハード・ロックとか聴いてるだろうか。


追記:
「CATCH THE RAINBOW」が掲載されたのは、1984年夏の「まんがアニメック3」だったようだ。
結局「まんがアニメック」自体も全4号で終わった模様。

(2022.1.31.)


追記2:
「アニメック」も1987年には休刊となり、発行元のラポートも2003年に倒産。
アニメック編集長だった小牧雅伸も22年に亡くなったという。

(2024.8.25.)

室井大資『イヌジニン-犬神人-』1巻

イヌジニン.jpg室井大資の作品を全部読んだワケではないし、何しろデビューが2000年の「モーニング」ということは、絶対読んでいるはずなのに、記憶にないのだ。
(もっとも、読んだら思い出すかも知れない。誰のなんていう漫画か覚えてないけど面白かった読みきりなんてのも、たくさんあるから)
そんな具合なので、コレを室井大資の最高傑作などと言い切ってはいけないのだろうけど。
それでも、室井作品の中で多分相当上位に入るはず。

2007~08年にかけて、角川の「コミック怪」に連載されていた作品。
ホラー・コミックといえば「ハロウィン」→「ネムキ」(あと「ほんとにあった怖い話」)一択だった俺は、この雑誌も読んでいなかった。
『イヌジニン』を読んだのは、単行本で。
“犬死人”じゃないよ、“犬神人”だよ。

遙か古から、とある神社で裏の仕事を引き受けていた民の一群があり。
そしてその組織は現代にも存続していた。
(どうやらその管理・運営は、今では国が関わっているらしい)
気が澱むと“怪(け)”が成る。
イヌジニンの仕事は、“おばけ”(怪)が成る…怪が「あっち」から「こっち」に来る、その前に退治すること。

ハイテクとローテク(とそれ以外も)がいびつに絡まり合うイヌジニンの在り方が、実にユニーク。
怪異を検証するため、現場に持ち込まれるのはノートPC。
しかしそこで走らせているソフトは、地磁気の計測だのに留まらず、タロットやら亀卜やらウィジャボード(西洋版こっくりさん)やら…(苦笑)。
組織の“頭脳”たる民俗学の生き字引・守谷は醜怪・巨躯・狡知の男色家。
“声”を務める樹(いつき)は、その発話があまりに禍々しく正し過ぎるが故に、お役目以外での会話を禁じられ。
(万一不吉な予言をしたなら、それは必ず成就してしまう)
“耳”であるもときは小学生だし。

実際に怪と対峙し、気を放って怪を鎮める“手”である、(一応の)主人公・三隅が何より良い。
体を張って怪と闘っているのに、当の怪を見ることが出来ず、“目”→“声”と(糸電話で!)もたらされる情報を頼りに、木銃で怪を撃つ。
ハードボイルドに見えて、無表情に放つボケの数々。
(それは怪との格闘の最中までも)
(一応)主人公なのに頭髪がちょっとヤバそうなところも、なんとも言えん(笑)。
ぶっきらぼうに見えて実は人間臭いキャラクター、それがとても良い。
こんな男だからこそ、カタブツの婦警さんや年期の入ったひきこもりも最後には彼に心を開くんだろう。

個人的には第2話「天言会事件」が特に気に入っている。
『秋津』の“いらか”もそうだけど、室井大資作品って、話が進む毎に男の子がどんどんかわいくなって行くんだよね。
(別にショタではないと思う)
「天言会事件」で、もときが“つか”に言う台詞「いいよ、友だちになっても。オンナだけどほかにいないし」が泣ける。
“耳”としての資質故に、一般社会から隔絶されて友達のいない少年期を送ってるんだなあ、と。
そしてこの話に限らず、『イヌジニン』に登場する怪異は、得体の知れない妖怪変化の類ではなく、すべて人間の営みに発している。
それがまた何とも。

あと、この作品に限らず、室井大資の描く女性キャラって…美人なのに、目力だけ強くて、薄ーい顔の薄幸そうな女ばかりなのは、何なんだろう。
『イヌジニン』では、婦警の広田さんが代表格。
別にそんなに巨乳じゃないのに、おっぱいのことばかり言われる不憫な人(苦笑)。
まあ不憫な人が一人いるのは、室井作品の特徴だ(笑)。


全1巻ではない。
2巻もあるはずだった。
しかし出ていない。
作者本人もこの作品には思い入れが強いようだし、いつか出るだろう。
続編にも期待出来るかも知れない。
しかし、今の室井大資にとって大事なのは、過去の作品の続編よりも、リアルタイムの新作。
噂の(?)新作に期待しつつ、それでも『イヌジニン』続編を(いつかはわからないが)待ちたいと思う。


(2024.8.15.改訂)

深夜に思う午後のこと8

仮面天使.jpg若菜将平『仮面天使』のTシャツを持っている。
レア…かね?
珍しいのは間違いないだろうが、希少価値があるかというと…ないだろうな。
そもそも『仮面天使』覚えてる人いるのかしら。
(深夜にやってたTVドラマじゃないよ)

で、Tシャツ。
コレを入手したのは当然『仮面天使』が連載されていた時期だから、90年代後半ということになる。
長い間フツーに外で着ていたが、ボロくなってきてからは部屋着にしていた。
しかし、大きな穴が目立つようになり。
この度、遂に廃棄することに。

ともあれ、15年以上、どうかすると20年近く着ていたことになる。
よくもったなあ。
(…と言っても、今持ってる一番古いTシャツは30年以上前のモノなんだけど)

『仮面天使』の連載が終了してから既に15年。
若菜将平がその後どうしたかは、まったく知らない。
しかし、単行本はまだ全国あちこちの本棚にあるんだろう。
今でも読み返してる人がいるかも知れない。
何しろ今までTシャツ持ってた奴もいることだし。

虎は死して皮を残す。
漫画家は消えても、作品は残る。
(単行本すら残さずに消えた人はまあアレだが)
ってか、若菜将平がその後漫画家を続けていないのかどうか、確認したワケじゃないけど。


とりあえず我が家には他に『Ω』のTシャツもあるぞ。
(覚えてる人いるかしら。アフタヌーンの『大合作』で美味しいとこ全部持ってったあの…)
こちらのTシャツはいまだ現役。


追記:
『仮面天使』、今ではKindle版もあるのか。

(2022.1.20.)


追記2:
『Ω』の作画を担当していた松森正、77歳の今も現役。
『Ω』連載当時、既に40代後半だったことになる。

(2024.8.14.)

山下ユタカ近況

残像のラプソディ.jpgFUNDIYのプロジェクト「残像のラプソディ」を支援した人のうち、5000円以上出資した人の手元には、もう紙の本が行き渡っていることと思う。
なんだかんだ言っても、やっぱりパソコン画面で読むより紙の本で読む方が良いね。
クラウドファンディングの件を知らなかった人には気の毒だが、少なくともこのブログ読んでた山下ユタカファンで、知らずに悔しい思いをした人はいなかったと思うし、そうなら俺も多少は役に立ったかな…などと思ったりも。

さて、その後ですが。
まあ想像付くと思うけど(苦笑)、あんまり良くない。
山下ユタカ、先日もネーム抱えて行った先で玉砕。
「いやあ~、凄くイイんですけど、ウチではちょっと…」みたいな、今までにもよく聞いたコメント付きで。

クラウドファンディングも成功したことだし、出版社を訪ねて編集部に売り込む、みたいにして雑誌掲載を狙う…みたいなのとは違った道が何処かにないかと思ったりもするんだけど。
でもそういうのは、ネットとか詳しい人じゃないとダメかしら。
(そういや山下ユタカ、クラウドファンディングが成功したら何をおいてもネットを始める、とか言ってたが…やってないっぽいなあ、そんな話聞いたことない)

ともあれネームが通らない日々が続き。
山下ユタカの苦悩もまた続く。
どうすればいいのかと。

山下ユタカが追及する“リアル”…“アンチ絆”だとか“「タイマン張ったらマブダチ」なんて嘘”みたいなのが、今現在彼が描いているそのままで受け入れられないのなら。
受け入れられる工夫が必要なんだろうな。
乱暴な言い方をすれば、“リテラシーの低い”読み手にも受け入れられるような。
山下ユタカがよく言う“作家性”ってやつを殺さない範囲で、もっとエンターテインして見せるやり方ってのが、何処かにあるんじゃなかろうか。
“リアルヤンキーあるある”みたいな感じでギャグにするとか?

俺としては、原作付きの漫画で描き手に徹するとか、ジャンル誌の企画モノで描くとか、そういうのやってみて欲しいと思っている。
個人的に、『ガガガガ』終了後のここ数年で一番の傑作は「銀貨鉄道途中下車」だと思ってるんで。
パチスロ雑誌の中で、ドラッグも暴力もバイクも出てこない漫画を見事に山下節に仕立ててたと思うから。
山下ユタカの時代劇。
山下ユタカのラブコメ。
山下ユタカのペット漫画。
どれも面白そうじゃん。
(数年前に持ち上がった○○・○○○の伝記漫画という話が立ち消えになったのは痛かった)

まあ「銀貨鉄道途中下車」は、絵柄のラフさが玉に瑕だったけど。
絵に関しては、秘密兵器(?)の投入もあり、現在の山下ユタカは一時期とはまるで違う緻密な絵に戻りつつある…というのは、「残像のラプソディ」を読んだ人ならわかると思う。
今こそは描くべき時…のはずなんだが。

とりあえず某サイトで山下ユタカのエッセーみたいなのは読めるけど。
やっぱり漫画が読みたいよね。
我こそはという編集部はどっかにないかね。
(編集部・編集者に限らず)


追記:
上で提案したうち、原作モノは実現に至ったが、結局続かず。
時代劇やペット漫画はまだだぞ。
もう10年以上前にポシャった話だけど、チェ・ゲバラの伝記漫画が実現していたらな、とも思う。

(2024.8.13.)

「残像のラプソディ」出来

大人ミカちゃん20141225.jpgFUNDIYのプロジェクトに出資した人たちは既に読んでいるだろう、PDFファイルで配信された「残像のラプソディ」を。
今日“修正版”が配信されたのも、もう読んだろう。
『ノイローゼ・ダンシング』17年後の続編。

個人的には…もっと救いのない話を予想していた。
キンちゃんをはじめとするカツローの元同級生たちが、もっと徹底的に俗物として描かれているのではと予想していた。
だから、正直言って拍子抜けな部分もあった。
内容に不満足なファンも少なくないのでは。

しかし。
序盤のドンパチを別として、じんわりとした余韻の残る、極めて美しい話に仕上がったと思う。
よくもこんなにきれいにまとめたモノだと思う。
むしろ、ほとんど余韻だけで構成されていると言ってもイイ。

山下ユタカの実体験が反映されている。
こういう話にしかならなかったのだろう。
しかし、山下ユタカ本人が同様のシチュエーションで藤沢に帰った時に感じた(であろう)幻滅やルサンチマンは、見事に作品として昇華されていると言える。

そして、『ノイローゼ・ダンシング』で最も器が大きく人望のある人物として描かれていたヒロくんは、体の自由を失いながらもかつてのままに器の大きい男として描かれている。
OBの佐伯やケイも登場。
(キンちゃんにボコられてたポン中の先輩はどうなったんだろう?)

ケンボーは…やっぱり要領の良さだけじゃダメだったんだな。

ともあれ、山下ユタカの山下ユタカによる『ノイローゼ・ダンシング』ファンだけのための漫画に仕上がっている。
本当に読みたい人間だけに届く、クラウドファンディングでなければ実現しなかった作品だ。
『ノイローゼ・ダンシング』を知らない人間にとってはほぼ100%意味を成さない作品だが、それでいいのだ。


…だが、「それでいいのだ」と言ってばかりもいられない。
山下ユタカにこの先必要なのは、山下ユタカを知らない人間にも届く新作と、それを掲載してくれる媒体だ。
「残像のラプソディ」だけじゃ、一里塚にもなりゃしねえ。

「残像のラプソディ」を読んだ人間にはわかると思うが、○○○の導入(カネは俺が出した…)もあって、山下ユタカの絵のクォリティは「DISTORTIONZ」や「銀貨鉄道途中下車」よりも格段に上がっている。
個人的には、常に打ち切りの危険をはらむ連載よりも、コンパクトなストーリーテリングの才が映える読み切りを連発してほしい気がする。
(同意してくれる人は多いと思う)
それも載せてくれる雑誌あってこそだ。
パチスロでもペット漫画でも、描く場所さえあればまだまだ光るはずだぞ、山下ユタカは。
バイク雑誌でもガンダムのスピンオフでも。
山下ユタカに1本描かせてみようって編集部はどっかにないのか?


(2024.8.7.改訂)

「残像のラプソディ」脱稿

大人ミカちゃん20141225.jpg山下ユタカのファンで今もこのブログをチェックしている奇特な人がどれほどいるか知らないが、ともあれ「残像のラプソディ」、昨日原稿上がったそうです。
23日の時点であと5ページとか言ってたんで、GW突入と同時に完成かな…とか予想していたけど、その通りになった。

本人よりメッセージが届いております。

「昨晩原稿完成致しまんた~!明日ビーグリーに渡す段取りです、配信4月ちうに間に合わなかった旨ヒラに御容赦を!さて…ビール呑むか!そんで膨大なお返しに着手すっか~!!」

…だそうです。
“配信”ってのは多分、本の発送のことだと思うが。
(当初4月とか言ってたもんな)
まあ、多分今頃はビール飲んでるだろう。

気になる内容は…俺もいまだに知らん。
下描きの断片とか写植貼ってない原稿の断片とかは何度か(写メで)送られて来てたけど。
なんか凄そう…というだけで。
3月に本人宅に行った時も、見せてもらってない。

とにかく…『ノイローゼ・ダンシング』について、カツローとヒロくんの友情が云々、みたいなことを思ってるような人たちの予想を300%ぐらい裏切るモノになっていそうなことは間違いない。
(今回クラウドファンディングに出資したような人で、↑みたいな捉え方の人っているのかしら)

…ってか、残念なのはクラウドファンディングに出資した人しか読めないことだよなあ。
『R-ZONE』でイラスト+コラムの連載はしているものの、雑誌での新作発表とかいう話は今のところないらしい。
推敲中のネームは、まだまだたくさんある。
「残像のラプソディ」はゴールでも何でもない。
次の展開、何かないか。
山下ユタカに次を描かせようという編集部は何処に。


(2024.8.5.改訂)